2018年12月24日
「第8回電機連合関東ブロック 海外視察」
開催日:2018/12/19(水)~23(日)
場 所:ミャンマー・タイ
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2018年12月19日(水)~23日(日)の4泊5日で、ミャンマー・タイの海外視察を行いました。
ミャンマーでは、アースタムラミャンマーエレクトロニック、ティラワ経済特区を視察訪問しました。タイでは、パナソニックモータータイを視察訪問しました。
ミャンマー、タイと2か国訪問することにより、それぞれの国の歴史や産業発展、国民性などを比較することができ、それぞれの現地にあった取り組みをおこなっていました。
以下にミャンマー編、タイ編として報告します。
<ミャンマー編 12月20日(木)訪問>
報告者:日本電波工業労働組合 執行委員長 川田 武史
◆アースタムラミャンマーエレクトロニック (加藤社長より説明)
1997年に委託会社(現地企業)が設立
1998年にトランスを生産開始
2014年にアースグループと合弁会社を設立
敷地面積:6200平方メートル
従業員数:約1000人
従業員平均年齢:23歳
勤務時間:8:30~17:30
18:30~4:00の2交代制
1勤務当たり380名体制
(内訳:作業員320名 間接60名)×交代勤務制
品種は約500種
主要生産品種はトランス(スイッチングトランス)・コイルとなっており、自社製品ではないEMS事業も展開(電動工具用トリガースイッチ生産)しています。また、釣り針に釣り糸を巻き付ける作業も展開していました。
主要製品の工程としては成形ボビンに巻線・半田付け・コイル・コアの圧着させる工程で、基本は手作業となっている。労務単価が安価なため、その単価にあった作業内容としていると説明がありました。(コイル:カーオーディオ。トランス:インフラ系・エアコン向け)
ミャンマー人の国民性に当初は苦慮しているようです。何が従業員のモチベーションに繋がるのか様々導入してみたが、確実なのは〝お金にはあまり興味がない〟〝休みが欲しい〟という国民性ということが分かり現在もどのような働き方が一番国民性にあっているのかチャレンジをしているとのことです。また、インセンティブ(結果報酬)の支給や、優秀な社員を会社主催のパーティーへ招待するなどの活動も実施しています。
ジョブローテーションは、基本行わない。理由はコイル巻き(巻線)工程が主軸となっており品質に大きな影響が出るため。手先が器用・真面目な作業員がコイル巻き工程に配属することを優先に実施していました。残業(時間外)は基本無し。国の政策(労働基準)により時間外手当ては基本給の2倍となっているため人員を増やした方が、生産性が高い。また、最低賃金は今日の明日実施という通達が国からされるため、労務費計算が難しいとの懸念材料もあるようです。
<ティラワ経済特区構内>
バスにてティラワ経済特区へ訪問しました。まず目に飛び込んだのは広大な荒原とヤンゴン川岸壁にそびえる大きな数々のコンテナ用ターミナル。
周囲をバスで一周し、広いイメージのみで見学を終えるのかと、大きな勘違いをしました。そこから20分ほどバスで走り見えてきたのは整備された区画と大きな工場、“THILAWA SPECIAL ECONOMIC ZONE”と石碑に書かれ、その後ろにはミャンマー国と日本の国旗が掲げられていました。そして近代的かつ友好的(私にはそう見えました)な建物(management communityservice center)に到着しました。
<ティラワ経済特区>
地政学上の重要性で、ミャンマー国を中心に東にはインド(約13億人)、北には中国(約14億人)、南にはASEAN(約6億人)の世界人口の4割超の国々が隣接しており物流も含めたネットワークに関していえば近い将来に魅力的な場所に属しているとの説明がありました。
開発当初は不安定な国内電力事情による停電も頻発していたが、日本のODAによる電力施設整備が2018年に完了し、現在の停電回数、電圧変動は大幅に改善されている。製造業に重要な電力が改善されたことにより素材産業の企業が進出を決定し、サプライチェーンも生まれてきている。また、浄水場の整備も行われ、現在は輸送道路の整備が進行していると周辺インフラも改善されつつあるとの説明でした。経済特区内の内部ユーティリティも順次展開され、企業の進出には問題が無いレベルまで開発が進んできている。
現在の入居が決まった企業は99社(内日本企業51社)。工事着工済83社、操業開始済み57社となっている状況だった。
ミャンマーに企業進出する魅力については、安価で豊富な労働力を掲げられていました。また、市場を見ても国内のみで約5,000万人、ヤンゴン圏で700万人あるためサプライチェーンを成り立たすことで大きなメリットが生まれるとのことでした。
課題は電力安定供給の脆弱性・不十分なインフラ整備(通信・道路・鉄道・港湾・上下水)を上げられていました。
◆全体を通しての感想◆
ミャンマーという国のイメージで、近年まで軍事国家であったという漠然をした知識しか持たずに参加をさせていただきました。空港に関しては、とても広く綺麗な建物で日本の空港より数段階上回っている印象です。空港よりヤンゴン中心への道中では町中に明かりが殆どなく、また、道路も舗装があまりよくない状況であると感じました。
アースタムラ様の見学では説明にもあったように“安価な労働力”との表現通り工場内は作業員が、ひしめきあっており黙々と手を止めずに作業に従事していました。近年の日本では見られない光景でした。女性の割合が多く手作業(手先が器用で勤勉)に関しては積極的に採用している、インセンティブによりより頑張って仕事に従事され、5S活動にも積極的に参画するというとても積極的かつ無駄のない作業が出来きる国民性と感じました。
ティラワ経済特区では開発ゾーンはまだまだこれからという印象でした。開発が完了し操業を開始されているエリアから見たイメージですと、すべてのエリア開発が完了し、企業が入ることでアジア圏の中でもとても大きな産業地帯になると予想できます。すべての開発が完了した後の状況を将来的に再度視察できればと感じました。
最後に今回このような視察の機会を設けて頂き、電機連合関東ブロックのみなさまには感謝申し上げます。これら経験を会社や職場と共有できればと思っています。
<タイ編 12月21日(金)訪問>
報告者:新日本無線労働組合 執行委員 金野 誠
タイ国概要
面積:51.3万平方km(日本の約1.4倍)
首都:バンコク
人口:6.880万人
宗教:仏教(95%)、イスラム教他(5%)
GDP成長率:3.2%(2016年実績)
在籍法人数:約64.000人
◆パナソニック モータータイ (玉崎社長より説明)
タイパナソニックグループは、1961年にナショナルタイ(株)を設立から現在に至っている。
タイ国内に、20社(製造:11社・販売:5社・その他:5社)があり、従業員数は約14.000名(2017年3月時点)で、日本人は約150名。
今回、視察したパナソニックモータータイは、1997年設立で、従業員数は2018年3月時点で996名(直接員:795名 平均年齢 28.7歳)で日本人出向者は5名となっている。
◆感想◆
今回、1~7号棟ある工場棟の3号棟(DCモーター生産:巻線工程⇒BMC成型工程⇒完成品組立工程)の工場見学をさせていただきました。
前日に同じくモーター生産工場のアースタムラエレクトロニクス株式会社(ミャンマー)は、人の手による生産が主であり、パナソニックモータータイは、ほぼオート化され椅子も一つも確認できなく生産革新的な要素が大きく感じられました。
それでも、人件費は日本に比べ安く正社員は月給約20.000バーツで7万円(年5~6%は賃金上昇あり)となっており、マニュアル装置もまだ多くあるとのことでした。製造ラインは、製品別に分れており5Sも徹底されている印象です。
また、人材育成に関しても工科短大大学校で3か月の研修制度があり、技術向上の取り組みがされており、従業員のモチベーションアップで、1回/月のファミリー向けの誕生日会なども行っており、従業員への配慮もされておりました。海外視察の機会を頂き、本当にありがとうございました。