2023年10月06日
『電機連合@見える化通信』Vol.141
障がい児等の家族の両立支援 通学支援体制の充実を
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。
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障がい児等の家族の両立支援
通学支援体制の充実を
障がい児、医療的ケアが必要な子の家族にと
って、育児・ケアと仕事を両立することは非
常に難しいものとなっています。特に通学の
送り迎えは保護者の就労の壁となっており、
付き添いなしで登下校できる支援体制の整備
が求められます。
【労働と福祉の両面から環境整備を】
障がい児等の家族が安心して働き続けられる
ようにしていくためには、労働・福祉の両面
から環境整備を図っていくことが重要です。
障がいのある子どもの場合、成長とともにケ
アの負担が軽減されるとは限らず、育児・ケ
アの長期化が課題の一つとなっています。
電機連合では2022年に「障がい者支援ガ
イドライン」を策定しました。ガイドライン
では職場における障がい者が働きやすい環境
整備の推進にとどまらず、障がい児等の家族
への両立支援を盛り込みました。具体的には、
組合員の個別のニーズ・事情を把握し、柔軟
な働き方や休暇制度の導入、あるいは既存の
制度の柔軟な運用を求めることなどを明記し
ています。
なお、両立支援にあたっては、今年6月に示
された厚生労働省「今後の仕事と育児・介護
の両立支援に関する研究会」の報告で、「障
がい児を育てる親等、個別のニーズに配慮し
た両立支援」の視点が初めて盛り込まれまし
た。今後は厚生労働省の審議会で具体的な両
立支援策についての議論を経て、2024年
の通常国会に育児・介護休業法の改正案が提
出される予定となっており、どこまで対応が
進むか注目されます。
【就労継続には通学支援などの課題が残る】
2021年に「医療的ケア児支援法」が成立
し、法の目的に家族の離職防止が盛り込まれ
るなど、国レベルで支援に向けた環境整備の
検討が進んでいます。しかし、現行の福祉サ
ービスは保護者の就労支援を目的としておら
ず、就労継続を難しくする様々な課題がある
ことが職場の声から明らかとなりました。例
えば「遠方の専門病院へ通院しなければなら
ない。学校への送迎や急な呼び出しもあり両
立が難しい」、「移動支援は余暇に利用でき
ても通園・通学に使えないため毎日送り迎え
をしている」、といった声などが寄せられ、
とくに通学支援の充実を求める声が複数あり
ました。
【福祉サービスは日常の通学に利用できない】
障がいのある子の通学支援としてスクールバ
スの運行などがあります。また、障害福祉サ
ービスの地域支援事業として移動支援事業が
あり、自治体が主体となって実施しています
が、通学ルートを覚えるための訓練など一時
的・例外的なものに限る自治体が多くなって
います。通年かつ長期にわたる外出にあたる
として、日常の通学には原則、利用できませ
ん(図表)。
そのためスクールバスを利用できない場合、
保護者が登下校の付き添いをする必要があり、
また、保護者が体調不良等で送迎できないと
きは休ませなければならないなど、そのしわ
寄せが子どもにも及んでいるのが現状です。
【付き添いなしでも
通学できるよう支援の充実を】
障がい児等の家族の仕事と育児・ケアの両立
を支援するため、国レベルで福祉サービスの
整備を行っていくことが重要です。今回例示
したように、通年かつ長期にわたる外出であ
る通学などにも利用可能にするなど、移動支
援の整備や充実もその一つとなっています。
また、一部の自治体では「障害児通学支援事
業」を独自で実施し、一人で通学が困難な児
童・生徒を対象に、通学ヘルパーを派遣する
事業を行っているところがあります。自治体
においてもこうした事例を参考に、保護者の
付き添いなしで通学できるようにするなど通
学支援体制の充実を図っていくことが求めら
れます。
【電機連合千葉地方協議会】
・公式HP
(http://www.jeiu.jp/chiba/)
・事務局長ブログ
(https://denki-chiba.seesaa.net/)