2023年09月08日
『電機連合@見える化通信』Vol.140
次世代蓄電池への挑戦~持続可能な社会実現のカギ~
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。
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次世代蓄電池への挑戦
~持続可能な社会実現のカギ~
エネルギー課題の解決とカーボンニュートラ
ル社会の実現の大きなカギを握る次世代蓄電
池。日本の産業競争力強化という観点からも、
産学官が連携した開発が進められています。
私たちの生活にはエネルギーが欠かせません。
車にはガソリンや電力が必要ですし、スマート
フォンは日々充電を必要とします。また、再生
可能エネルギー源である風力や太陽光による電
力を継続的に利用するためには、風のない日や
夜間など、エネルギー供給が不安定な場合に備
えて効率的にエネルギーを蓄積しておかなけれ
ばなりません。次世代蓄電池は、こうしたエネ
ルギー需要に応え、将来にわたって持続的な社
会を支えていく上での中心的な役割を担ってい
ます。
【求められる 高エネルギー密度蓄電池】
次世代蓄電池は、現在使用されているニッケル
水素電池やリチウムイオン電池などに比べてエ
ネルギー密度(※1)の高い電池です。
例えば、電解質に固体材料を用いた全固体電池
や、プラス極の酸素とマイナス極の金属とが化
学反応して電力を生成する金属空気電池など、
多様な技術があり研究開発が進められています。
※1 特定の量(重さ)や容積の物質が持って
いるエネルギーの量。エネルギー密度が高い蓄
電池は、同じ大きさや重さでより多くのエネル
ギーを蓄えることができる。
【EVや家電に活用
コストや製造プロセスが課題】
次世代蓄電池は、その高いエネルギー密度によ
り、より小さな容量で多くのエネルギーを蓄積
できるため、電気自動車(EV)の走行距離の
伸長や家電の使用時間の延長が期待されます。
また、再生可能エネルギーの普及のためには、
大容量で寿命の長い蓄電池が必要不可欠ですが、
次世代蓄電池はその点でも大きく期待されてい
ます。一方、これらの技術には、生産コストの
高さや製造プロセスの複雑さといった克服すべ
き課題も多く残されています。
【グリーン成長に向けて政府も幅広い支援】
経済産業省は、カーボンニュートラル社会の実
現や環境課題の解決に向け、日本の環境技術の
革新とグリーン成長を促すための支援策「グリ
ーンイノベーション基金事業」を進めています。
この事業は、次世代蓄電池のみならず、次世代
型太陽電池のペロブスカイト太陽電池の技術開
発や、あらゆる分野の電化・デジタル化の基盤
であるパワー半導体の開発も支援対象としてお
り、電機連合の加盟組合企業も含め、様々な企
業や研究機関といったステークホルダーが連携
し研究・開発を進めています。
【持続可能な社会の実現をめざして】
持続可能な未来を実現するために重要な次世代
蓄電池の開発を主導する電機産業への期待は一
段と高まっています。
電機連合としても、蓄電池事業と関連の深い加
盟組合をはじめ、皆さんからのご意見をふまえ、
現行のリチウムイオン蓄電池事業への支援に加
え、さらなる高容量・長寿命・低コスト化と安
全性を向上させた次世代蓄電池の開発と社会実
装にむけた支援の拡大を働きかけていきます。
【電機連合千葉地方協議会】
・公式HP
(http://www.jeiu.jp/chiba/)
・事務局長ブログ
(https://denki-chiba.seesaa.net/)