2021年07月30日
『電機連合@見える化通信』Vol.117
デジタル共生社会の実現に向け情報アクセシビリティの確保を
『電機連合@見える化通信』Vol.117
デジタル共生社会の実現に向け
情報アクセシビリティの確保を
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。
デジタル共生社会の実現に向け
情報アクセシビリティの確保を
デジタル化の進展は障がいのある人の様々な
活動の拡がりが期待される一方で、情報アク
セシビリティに配慮されていないICT環境が
利用の障壁ともなっています。すべての人が
デジタル化の恩恵を受けられるよう環境整備
に取り組むことが求められます。
【加盟組合からの声】
今年3月、ある加盟組合から電機連合に要望
が寄せられました。「ほぼ全盲の組合員がP
Cを使う際に画面の文字を読み上げる音声ソ
フト(スクリーンリーダ)を活用しているが、
音声ソフトに対応していないものも多く、業
務に支障をきたしている。情報アクセシビリ
ティが図られるよう国が率先して法整備等を
進めてほしい」との内容でした。
アクセシビリティとは「利用のしやすさ」の
ことで、ICT機器やサービス等の情報アク
セシビリティの確保は、開発企業の自主的な
取り組みに委ねられています。私たちの働く
職場でもデジタル化やクラウド化*が急速に
進んでいる中、情報アクセシビリティに配慮
されていない環境が利用の障壁となり、とり
わけ障がいのある人を困難な状況に追い込ん
でしまう実情があります。
*自社内に機器を設置して運用してきたシス
テムから、ネットワークを通じて外部の事業
者のクラウドサービスを利用する方式への移
行。自社内のシステムをカスタマイズできな
いため、クラウド化によりサービスが利用で
きなくなったケースもある。
【法整備が進むアメリカ、EU】
諸外国では法整備が進められています。アメ
リカでは公共調達するICT機器・サービス
は障がい者がアクセス可能となるよう義務化
されており、そのための技術基準も示されて
います。また民間については電気通信法で定
められ、公共調達と同じ技術基準です。さら
に欧州では公共調達、民間に関わらずアクセ
シビリティの対応を求める、欧州アクセシビ
リティ法(以下、EAA)が2019年に成
立し、同時に技術基準も示されました。EU
加盟国はEAAをベースに国内法を制定し、
2025年までに全面施行しなければなりま
せん(図表)。
【改正障害者差別解消法案
矢田わか子議員に声を届ける】
日本では2021年通常国会に障害者差別解
消法の改正法案が提出され、ようやく民間事
業者に過重な負担のない範囲で障がい者を支
援する合理的配慮の義務化が盛り込まれまし
た。例えば、店舗にスロープを設置すること
や、意思を伝え合うためにタブレット端末の
利用を事業者に求めるものなどです。
電機連合はこの法案審議にあたって矢田わか
子議員と連携し、加盟組合の要望を質疑に反
映してもらいました。「デジタル化が進み、
視覚障がい者が雇用の場で音声読み上げソフ
トを利用する機会が増えている。しかし対応
できていないソフトがあり、障がい者の労働
生産性を低下させている」とし、日本の対策
強化を求めました。政府からは「障がい者の
利便性向上につながる端末やサービスの開発
助成を継続する」との答弁に留まり、この課
題に関する回答は得られませんでしたが、今
後の政府の助成策を注視していく必要があり
ます。
【具体的事象の改善を
デジタル共生社会につなげる】
法案は2021年5月28日に成立し、施行は
公布から3年以内の予定です。政府が進める、
誰一人取り残さないデジタル共生社会の実現
に向けては、障がい者一人ひとりの具体的事
象に向き合い改善していくことが不可欠です。
電機連合は2022年夏頃を目途に改定され
る基本方針への意見反映等を行い、政府が情
報アクセシビリティに配慮したICT環境の
整備に率先して取り組むよう引き続き求めて
いきます。
【電機連合千葉地方協議会】
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