活動紹介

2020年07月09日

『電機連合@見える化通信』Vol.107

~ 急がれる学校教育のICT化 ~

『電機連合@見える化通信』Vol.107

~ 急がれる学校教育のICT化 ~

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。

~ 急がれる学校教育のICT化 ~

新型コロナウイルス感染症への対策として、
学校の休校が長期間実施されました。授業継
続の秘策として期待が高まったのがオンライ
ン教育でしたが、PC等の配備不足、教室での
対面授業を前提とした指導要領、教員のノウ
ハウ不足など様々な問題が浮き彫りになりま
した。
学校教育のICT化に向けた環境整備を着実
に進める必要があります。

【新型コロナウイルス感染症対策で急がれた
オンライン教育】
今回の新型コロナウイルス感染拡大防止とし
て、2月末から5月末まで全国全ての小・中
・高校を休校とする対策が実施されました。
通学ができない中で学習を行うために注目さ
れたのがオンライン教育です。
しかし、一部の先進的な学校での実施に留ま
りました。本格的な実施のためには、著作権
法、PC等の整備、家庭の通信環境・費用な
どの問題をクリアする必要があることが浮き
彫りになりました。
6月から教室での授業が再開されましたが、
学習環境の整備や教師の負荷低減に向け、学
校教育のICT化、オンライン教育の環境整
備を着実に進めていく必要があります。

【これまでも取り組んできた学校教育のIC
T化】
学校教育のICT化は今に始まったことでは
ありません。文部科学省は、2017年に改
正された学習指導要領で、小学校からのプロ
グラミング教育の導入や積極的なICTの活
用を掲げ、「教育のICT化に向けた環境整
備5か年計画(2018~2022年度)」
を策定し、教育用PCを3クラスに1クラス
分配備、超高速インターネット及び無線LA
Nの100%整備、ICT支援員を4校に1
人配置など推進してきました。

しかし、文部科学省の調査(2019年3月)
によれば、教育用PC1台当たりの児童生徒
数は5・4人、普通教室の無線LAN整備率
は41%に留まっており、地方公共団体間での
格差なども課題となっています。

そこで政府は、2019年12月に「GIGA
スクール構想※1」を策定し、児童生徒1人
1台端末、高速大容量の通信ネットワークの
整備などの5年計画を掲げ、2019年度補
正予算に2,318億円を盛り込みました。

さらに今回、新型コロナウイルス感染症によ
るオンライン教育の必要性の高まりから、対
面授業のみに認められていた教科書などの著
作物の複製がオンライン授業でも無償で使え
るように政令を改正したことや、携帯電話大
手3社による期間限定での25歳以下の学生に
対する通信料負担の軽減、さらに、小中学生
に1人1台のPC配備計画を2020年度中
に前倒しするなどの施策が進められることと
なりました。

※1:Global and Innovation Gateway for
ALL。児童生徒1人1台端末、および高速大
容量の通信ネットワークを一体的に整備し、
公正に個別最適化された学びを全国の学校現
場で持続的に実現させる構想をいう。

【世界で進む教育現場のICT化】
OECDの調査によると日本の授業(国語・
数学・理科)におけるデジタル機器の活用は
約20%に留まり、OECDの中で最も低くな
っています。また、学習におけるデジタルツ
ールの活用状況でも日本は、PCを活用した
宿題やインターネットを勉強のために活用す
る機会が極めて低くなっています(図表1)。

さらに、教員のPCなどを活用した教育への
自己効力感は35%と低く、6割以上の教員が
ICTを活用した指導に不安を抱いているの
が実態です。

【求められるICT支援員の拡充】
学校教育のICT化の推進策として期待され
ているのがICT支援員です。この制度は2
013年に創設され、現在1,549名(2
020年1月)の方が、教員の機器操作の補
助、ICTを活用した授業計画、教材作成な
どの支援を行っています。

しかし、ICT支援員の配置目標である4校
に1人を達成している都道府県はありません。
また、都道府県により格差※2があり、支援
員が100人以上いる都道府県が4か所※3
に対し、10人未満は14か所もあります。

※2:ICT支援員1人当たり担当学校数の
少ない都道府県(上位5)は沖縄県(10校)、
鳥取県(11校)、神奈川県・東京都・福岡県
(同12)。
※3:東京都(219人)、大阪府(148
人)、神奈川県(142人)、福岡県(11
2人)

【電機連合の取り組み】
新型コロナウイルス感染症対策を通して、学
校におけるPC等の配備や通信環境の整備が
急速に進むと期待されますが、教員のICT
の活用を支援する人材の確保や、教育のオン
ライン化に向けた法改正も重要です。

電機連合は2012年からPCやタブレット
の配備だけではなく、デジタル教科書が正規
教科書として扱われることや教員のICTの
活用を支援する人材の重要性を訴えてきまし
た。これを契機に対面授業を前提にした学習
要領など制度上の問題解決やICT支援員の
本格的な導入・普及に向けた環境整備につい
ても進めていかなければなりません。


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