活動紹介

2020年04月09日

『電機連合@見える化通信』Vol.103

~ 研究開発で米中に遅れをとる日本促進に向けた政府からの積極的な支援を ~

『電機連合@見える化通信』Vol.103

~ 研究開発で米中に遅れをとる日本促進に
  向けた政府からの積極的な支援を ~

電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展
させるため、社会政策は暮らしや生活をより
良くするための取り組みです。

私たちの周りには様々な問題があり、その中
には、個別企業労使の話し合いだけでは対応
しきれないものも多数存在します。

電機連合は働く者の立場から、自らに関係す
る課題について政策・提言をまとめ、政府や
省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指
しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく
小難しくて見えづらい政策課題について、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。

~ 研究開発で米中に遅れをとる日本促進に
  向けた政府からの積極的な支援を ~

世界をリードしていくためには、新たな価値
の創出に向けた研究開発が不可欠です。
しかし、この20年間、日本の研究開発費は大
きく遅れをとっています。政府としても研究
開発税制による促進を図ってきましたが、主
要国と比較すると課題があります。

【米中に遅れをとる日本の研究開発費】
日本の研究開発費は、この20年あまり緩やか
に増加していますが、米中の投資はそれ以上
に増加しています(図表1)。
日本の経営者は、新市場の開拓につながる長
期的な研究開発の重要性は認識しつつも、リ
スクのある投資には消極的と言われているこ
とと、リーマン・ショック後に短期での業績
改善を優先したことが主な要因と考えられます。

【日本と主要国との研究開発税制の違い】
政府としても、研究開発税制による促進を行
っていますが、主要国と比べると①控除率・
控除上限額、②研究開発費の範囲(人件費の
算入)など違いがあります。
2018年度の調査(複数回答)※1による
と、研究開発税制を利用しなかった企業の理
由として、「控除額が低くメリットが少なか
った」が35・1%と最も多く、次いで「専従
の研究者がいなかった」が32・8%となって
います。

日本の税制控除は、研究開発費の総額の最大
10%を法人税から控除できますが、米国の控
除率は20%です。また、中国では研究開発費
の150%まで損金に算入できます(図表2)。

なお、日本とは異なり控除上限がない国や繰
越・繰戻が認められている国も多くあります。
その他にも日本では研究開発費に含められる
人件費の条件が、「専従で研究開発に関わる
者」となっているため、専任の研究者を置く
ことができない企業にとってはメリットが少
ないという課題もあります。

【世界をリードするために更なる後押しを】
政府は、2020年度税制改正大綱において、
次世代の技術やビジネスモデルを持つベンチ
ャー企業との協業を促進する「オープンイノ
ベーション促進税制」などを新たに盛り込み
ました。

新税制では、新たな事業の開拓などを条件に、
2020年4月から2022年3月末までの
期間を対象とし、ベンチャー企業への1億円
以上(中小企業は1千万円以上)の出資に対
し、取得価格の25%を所得控除することがで
きます。

近年、自社にない技術や知識を得ることを目
的に、他社や研究機関などと連携していくこ
とが重要になってきており、こうしたオープ
ンイノベーションを促進していく支援策は重
要です。

しかしながら、今回の税制改正では研究開発
税制に関する控除率、控除額の上限、人件費
の算入条件の改善については盛り込まれてい
ません。日本の控除率は主要国と比較すると
低く、競争力の強化や控除額の上限に達して
いる企業の研究開発をさらに後押しするため
の制度の拡充が求められます。

また、人件費の算入についても、海外で行な
われている「賃金に対する源泉所得控除(W
BSO)」が参考になります。事前に研究開
発にかかる予想時間を申告し、従業員に支払
う賃金に対して源泉所得税控除(申告との差
額は返還)を控除限度額なく行なうものです。

日本が世界をリードするためにも研究開発の
さらなる後押しが必要です。

【電機連合の取り組み】
近年、主要国においては、法人税率を下げつ
つ、研究開発を維持・拡充しています。
日本の研究開発費は、先進国の中でも長年高
い水準を保ってきましたが、政府の支援は主
要国と比べ低い水準となっています。

電機連合として、日本の競争力をより強化し
、積極的な投資を後押ししていくためにもよ
り一層の拡充を求めていきます。

【電機連合千葉地方協議会】
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