2018年12月04日
『電機連合＠見える化通信』Vol.93
迫る2019年のＦＩＴ卒業！ ～ 再生可能エネルギーの 「ＦＩＴからの自立」をを ～
『電機連合＠見える化通信』Vol.93
迫る2019年のＦＩＴ卒業！
～ 再生可能エネルギーの
「ＦＩＴからの自立」をを ～
電機連合の活動の中に「産業政策・社会
政策」の取り組みがあることを知ってい
ますか？
産業政策は電機産業や日本をより豊かに
発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、そ
の中には、個別企業労使の話し合いだけ
では対応しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関
係する課題について政策・提言をまとめ、
政府や省庁などと意見交換を行い、政策
実現を目指しています。
『電機連合＠見える化通信』では、何と
なく小難しくて見えづらい政策課題につ
いて、その中身を少しずつご紹介してい
きます。
迫る2019年のＦＩＴ卒業！
～ 再生可能エネルギーの
「ＦＩＴからの自立」をを ～
【太陽光発電の買取り期間が終了！】
政府は２００９年11月に「余剰電力買取
制度」を導入しました。全ての電力利用
者から「太陽光発電促進付加金」を徴収
し、これを原資に電力会社が太陽光の電
力を買取ることで、太陽光発電設備の普
及を後押ししようとするものです。
当初の買取価格は住宅用太陽光発電
（10㌔㍗未満）で48円（１㌔㍗あたり）と、
家庭向け平均電力単価の２倍を超える水準
に設定されました。しかもこの買取価格は
10年間保証されます。
その後、２０１１年の東日本大震災を経て、
２０１２年７月に同制度は風力発電など他
の再生エネも含めた「固定価格買取制度
（ＦＩＴ）」に発展しました。
この「余剰電力買取制度」時代に導入され
た住宅用太陽光発電に対する買取り義務が、
２０１９年11月以降順次終了するのです（注）。
その件数は11～12月だけで約53万件とされ、
２０２３年までには約１６５万件、出力ベ
ースで６７０万㌔㍗に達するとされています
（図表１）。
これは一般的な原発６～７基分に相当します。
注：なお産業用太陽光発電（10㌔㍗以上）は
２０１２年７月開始の固定価格買取制度
の対象であり、買取保障期間は20年のた
め、ＦＩＴ卒業は２０３２年７月以降と
なります。
【ＦＩＴ卒業後の対応！】
一般に太陽光パネルは20～30年間発電し続け
ることが可能とされていることから、ＦＩＴ
卒業後も10～20年は使い続けられます。
そこで、設置者は①自家消費するか、②相対・
自由契約で余剰電力を売買するかを選択する
ことになりますが、大きく２つの課題が指摘
されています。
第１に、設置者は情報量や交渉力に劣る消費
者であるため、ＦＩＴ卒業者がその事実を認
知し、その後の使い方を積極的に選択するよ
うにするための工夫が必要です。
第２に、すでにＦＩＴ卒業後の買取を表明す
る事業者や蓄電池等の営業販売を行う事業者
が現れていますが、誰がターゲットであるか
（どの世帯が、いつＦＩＴ卒業を迎えるか）
が第三者からは特定できないため、現在買取
を行っている事業者とそれ以外との間の競争
上の公平性を確保する必要があります。
そこで、政府は５つの方針をとりまとめて対
応を急いでいます（図表２）。
【ＦＩＴからの自立へ向けた道筋を！】
再エネは｢ＦＩＴからの自立｣へ向けた取り組
みを加速させる時期に来ています。今年７月
に政府が決定した｢第５次エネルギー基本計画｣
では、２０５０年に再エネの｢経済的に自立し
脱炭素化した主力電源化を目指す」としてい
ますが、主力電源たるには｢コスト競争力｣と
｢長期安定性｣が欠かせません。
それを、これまではＦＩＴに頼ってきたため、
その弊害が生まれています。
電力会社が買い取る費用は私たち家庭など電
力の消費者から「賦課金」として集められま
すが、その額は６年ほどで10倍以上に膨らん
でいます。
「長期安定性」についても導入拡大を急ぐあ
まり、導入量の８割が太陽光に偏重したり、
不適切な事業者の参入を許し地域社会とのト
ラブルを引き起こしています。
政府は、早急に「ＦＩＴからの自立」へ向け
た道筋を示す必要があります。
【国会へ電機産業の声を！】
石上としお参議院議員
（東芝グループ連合）
http://ishigamitoshio.com/
矢田わかこ参議院議員
（パナソニックグループ連合）
http://yatawaka.com/
浅野さとし衆議院議員
（日立グループ連合）
https://www.asanosatoshi.com/#page1
