2018年05月24日
『電機連合@見える化通信』Vol.87
【EVシフトの加速は電機産業の成長チャンス】 ~次世代電池開発の支援や国内充電インフラ整備拡大を~
『電機連合@見える化通信』Vol.87
【EVシフトの加速は電機産業の成長チャンス】
~ 次世代電池開発の支援や国内充電
インフラ整備拡大を ~
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の
取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させ
るため、社会政策は暮らしや生活をより良くする
ための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中には、
個別企業労使の話し合いだけでは対応しきれないも
のも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係する課題
について政策・提言をまとめ、政府や省庁などと意
見交換を行い、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小難し
くて見えづらい政策課題について、その中身を少し
ずつご紹介していきます。
【EVシフトの加速は電機産業の成長チャンス】
~ 次世代電池開発の支援や国内充電
インフラ整備拡大を ~
自動車産業で起こりつつある4つの大きな変革、
いわゆる「CASE」が注目されています。
これらに必要とされる充電池やモーター、GPU
(グラフィック演算装置)やセンシングデバイス
などの技術の多くは電機産業が提供するものであ
り、電機各社にとって自動車市場での成長ポテン
シャルは大きいです。
○EVシフトが世界的に加速
「CASE」とは、「Connectivity(つながる)」、
「Autonomous(自動運転)」「Share&Service
(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文
字をとった造語です。
中でもEV(電気自動車)化へ向けた動きが加速
しています。2016年の自動車販売全体に占め
るEV比率は0・5%とまだわずかですが(富士
総研調べ)、自動車メーカー各社は2020年前
後のEVの量産化を相次ぎ発表しており(図表1)
今後EV化が急速に進むと予想されます。
背景には、大気汚染への対応等から環境規制を強
める各国政府の動きがあります。例えば、欧州で
は、昨年7月に英仏が相次いで2040年までに
ガソリン車やディーゼル車等の新車販売を禁止す
ると表明しています。
○中国がEV市場をけん引
中でも中国が世界のEV市場をけん引しています。
中国市場は2013年時点で世界3位、シェアは
12%ほどでしたが、昨年は1位となり44%と世界
の半分弱を占めるまでに成長しています。
中国は国を挙げてEV普及を進めており、来年か
らはEVやPHV等の新エネルギー車(NEV)
の一定比率の生産を義務付ける規制を導入予定です。
また、外資誘致のため50%までとしている自動車
メーカーへの外資出資ルールを2022年までに
全廃する予定です。そのため、各社はこぞって中
国市場への参入をねらっています。
○次世代電池開発の支援や国内充電インフラ整備拡大を
EV普及のカギを握るのは走行距離です。
2010年に日産自動車が発売した初代「リーフ」
は1回の充電による走行距離が最大280㌔㍍にと
どまっていましたが、昨年発売の米テスラの「モデ
ル3」は500㌔㍍超を実現しました。
ただ、搭載するリチウムイオン電池は高価なため
1千万円前後の高級車となってしまい普及は見込
めません。そこで、次世代型電池の開発が急がれ
ています。他にもモーターやインバーターなどE
V化に必要とされる技術には電機産業が提供する
ものが多く(図表2)、電機各社にとって自動車
市場での成長ポテンシャルは大きいです。
日本政府は自動車産業の競争力・イノベーション
力向上の維持強化を目的に、今年4月に経済産業
省内に「自動車新時代戦略会議」を設置し検討を
始めました。検討課題には、EVの普及課題(資
源、価格、航続距離、充電インフラ等)の克服策
電池の価値を最大化する社会システムの構築(リ
サイクル・リユース等)等が挙げられています。
早急に国としての戦略を示し、次世代電池開発の
支援や国内充電インフラ整備拡大などを進める必
要があります。
【電機の仲間だから伝えられる!国会へ私たちの声を】
石上 俊 雄 参議院議員(東芝グループ連合)
http://ishigamitoshio.com/
矢田 わか子 参議院議員(パナソニックグループ連合)
http://yatawaka.com/
浅野 さとし 衆議院議員(日立グループ連合)
https://www.asanosatoshi.com/#page1