2018年02月07日
『電機連合@見える化通信』Vol.83
「会社員を狙い撃ちした所得税改正」「小手先ではなく改革の全体像を!」
『電機連合@見える化通信』Vol.83
「会社員を狙い撃ちした所得税改正」
「小手先ではなく改革の全体像を!」
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」
の取り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展さ
せるため、社会政策は暮らしや生活をより良く
するための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中に
は、個別企業労使の話し合いだけでは対応しき
れないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係する
課題について政策・提言をまとめ、政府や省庁
などと意見交換を行い、政策実現を目指してい
ます。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小
難しくて見えづらい政策課題について、その中
身を少しずつご紹介していきます。
「会社員を狙い撃ちした所得税改正」
「小手先ではなく改革の全体像を!」
2018年度税制改正には私たちの給与から毎月徴
収される所得税が盛り込まれています。
今回は高収入の会社員を対象とする増税ですが、
将来的には中間層まで波及する恐れもあり、
その動向に注視が必要です。
○見直しの背景にフリーランスの増加
政府は多様な働き方に対応した仕組みを目指
すとして所得税改革を進めています。昨年12
月に閣議決定された「平成30年度税制改正大
綱」には所得税の改正も盛り込まれました。
今回焦点となったのが私たち会社員に関係す
る所得税の給与所得控除です。給与所得控除
とは所得税を計算する際、給与収入の額(年
収)から勤務に必要な一定の経費を差し引い
て税負担を軽減する仕組み。
ただし会社員等は必要経費(スーツや新聞代
など)の個別認定が難しいため、収入に応じ
て概算で控除します。控除額は給与収入の約
3割ほどとなっています。
見直しの背景にあるのがフリーランス等の人
達への対応です。近年ICTの進展により、
特定の企業や組織に属さずに個人で仕事を請
け負うエンジニアやプログラマー等の人達が
増えており、今後もこうした傾向は続くと予
想されています。
フリーランスを含む個人事業主の場合、得ら
れた収入は事業収入となり必要経費を実額で
差し引くため、会社員と同じような働き方を
しても給与所得控除は適用されません。政府
の議論のなかでは多様な働き方が増えつつあ
る中、「給与所得控除額が諸外国の水準と比
べて圧倒的に高く、実際にかかる経費よりも
過大に差し引かれているのではないか」とい
った指摘がでていました。
○給与所得控除の縮小さらに見直される可能性も
こうした現状から政府は様々な形で働く人を
応援するとし、2020年から会社員の給与
所得控除額を一律10万円引き下げる一方、す
べての人が受けられる基礎控除額を10万円引
き上げることにしました。
その上で給与所得控除の上限額を、現在の給
与収入1000万円超の220万円から85
0万円超の195万円に引き下げる方針です。
今回の見直しで自営業者やフリーランスの人
は減税となり、年収850万円超の会社員
(22歳以下の子どもや介護が必要な家族が
いる人は対象外)は増税となります。
政府は「引き続き見直しを継続していく」と
しており、今後さらに給与所得控除の額や収
入基準の引き下げが行われる可能性も否定で
きません。
実際、2013年に上限が設定されて以降、
過去数回にわたり年収水準・上限額ともに
引き下げられているのです
○クロヨンとグレーゾーン公平性を損なう懸念
経済社会の構造が大きく変わる中で、その
環境変化に応じた税制の見直しは必要です。
しかしながら、給与所得控除のこれまでの
経緯や現状を顧みずに見直すことは問題です。
給与所得控除には税務署が課税対象とすべき
所得の把握率(捕捉率)が他の所得と比べて
高いといった、いわゆるクロヨン問題(*)
への配慮なども加味されていると言われてい
ます。
さらには必要経費に対するグレーゾーン問題
があります。個人事業主の場合、家賃や自動
車、飲食費など仕事に関係するものであれば
経費として認められますが、公私の境界線が
曖昧になりがちです。こうした状況を放置し
たまま、「働き方の多様化」への対応という
名目により、結果として事業所得を幅広く
減税する一方で、税負担増の多くを一部の給
与所得者に安易に求めることは、税制に対す
る公平感・納得感を損なうことが懸念されます。
政府は小手先の見直しに終始することなく、
改革の全体像を示した上で、ICTを活用し
た所得捕捉の向上や富裕層に優遇されている
金融課税の強化など不公平税制の是正に向け
た取組みが求められます。
*クロヨン問題・・
納税者の就業形態の違いによって生じる課
税所得の捕捉率の大小で、源泉徴収で納税
される給与所得者が、その所得のほぼ9割
を捕捉されるのに対し、申告納税をする事
業所得者(非農林)が6割、農業所得者が
4割しか捕捉されていないという問題
【第25回参議院議員選挙 組織内公認候補予定者】
電機連合 顧問 参議院議員 石上 としお
http://ishigamitoshio.com/
【電機産業で働く私たちの代表】
電機連合 顧問 参議院議員 矢田 わか子
http://yatawaka.com/
電機連合 顧問 衆議院議員 浅野 さとし
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