2018年02月07日
『電機連合@見える化通信』Vol.84
「賃上げした企業に減税 果たして賃上げ効果は?」
『電機連合@見える化通信』Vol.84
「賃上げした企業に減税 果たして賃上げ効果は?」
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の取
り組みがあることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させる
ため、社会政策は暮らしや生活をより良くするため
の取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中には、
個別企業労使の話し合いだけでは対応しきれない
ものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係する課題
について政策・提言をまとめ、政府や省庁などと意
見交換を行い、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小難し
くて見えづらい政策課題について、その中身を少し
ずつご紹介していきます。
「賃上げした企業に減税 果たして賃上げ効果は?」
○拡充される賃上げ税制
賃上げ税制(正式名称は所得拡大促進税制)は
2013年度の税制改正で導入されました。
当初は3年間の時限措置でしたが、14年度と15
年度に要件緩和と2年間の期限延長がなされて
います。
図1は、今回の改正内容のうち中小企業につい
てみたものです。要件の1つである平均給与等
支給額が「前年度を上回る」から「前年度比2
%以上増」へとやや厳しくなりました。
ただ税額控除は12年度からの増加額の10%とさ
れているのに加え、前年度からの増加額に対し
ては12%の税額控除を上乗せできることになり
ました。(*)
*大企業についても同様の税額控除上乗せが設
けられた。ただその割合は2%と中小企業に
比べ低い。他に増加要件割合も大企業と中小
企業とでは異なる。
○増えつつある利用実績
賃上げ税制に対しては、企業の6割強が法人税
を納めていない、中小企業に赤字企業が多いと
して賃上げ効果への疑問も言われています。
効果を正確に測定することはできませんが、こ
こでは制度の利用実績と経営者意識をみてみます。
図2は、所得拡大促進税制の適用実績を示して
います。2013年度は51件、64・8億円でし
たが、要件緩和を経て15年度は277件、58
2・2億円まで増えました。
電機産業をみても、2013年度は7件、20
・0億円と少数でしたが、15年度は17件、63
・5億円と増えています。
○賃上げを後押ししたが2割弱
経営者の意識はどうでしょうか。所管である経
済産業省では2014年に「所得拡大促進税制
の利用促進に関する調査」を実施していますが、
この調査では利用企業に対し、制度の創設・拡
充が賃上げを後押ししたかどうかを尋ねています。
結果は「後押ししなかった」が半分近く、「大
いに後押しした」「後押しした」が2割弱でした。
評価に迷うところですが、調査の分析では「本
税制が一定数の企業の賃金の引き上げの実施、
またその引き上げ額の判断を後押しした」と賃
上げ効果を認めています。
なお、この調査では他に企業側の悩み・要望も
尋ねていますが、計算の複雑さやHP上での説
明の拡充といった声があがっています。これら
の課題を解決しながら、今後、制度内容の浸透、
利用の拡大が求められます。
【第25回参議院議員選挙 組織内公認候補予定者】
電機連合 顧問 参議院議員 石上 としお
http://ishigamitoshio.com/
【電機産業で働く私たちの代表】
電機連合 顧問 参議院議員 矢田 わか子
http://yatawaka.com/
電機連合 顧問 衆議院議員 浅野 さとし
https://www.asanosatoshi.com/#page1