2015年12月06日
『電機連合@見える化通信』Vol.58「ロボット革命で少子高齢化等の課題解決」
『電機連合@見える化通信』Vol.58
「ロボット革命で少子高齢化等の課題解決」
電機連合の活動の中に
「産業政策・社会政策」の取り組みが
あることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに
発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、
その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存
在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに
関係する課題について政策・提言をま
とめ、政府や省庁などと意見交換を行
い、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、
何となく小難しくて見えづらい政策
課題について、その中身を少しずつ
ご紹介していきます。
●●電機連合の社会政策●●
※インフラ監視・点検については、機械
化を視野に入れた対応を図るとともに、
各種センサーや画像認識技術等の利用
について早急に仕組みを整備する
※ドローン等無線操縦ロボットの活躍が
期待される分野であり、電波の取り扱
い(使用周波数帯出力)や運用ガイド
ラインの整備を進める。
電機連合ではこれまで、介護現場や災
害現場等へのロボット活用の必要性と
技術開発促進を主張してきましたが(※)
今年に入って幅広い分野で活躍し始め
るなど、ロボットへの関心度は高まっ
ています。
○ロボット革命の実現に向けて
政府が「日本再興戦略」改訂2014
(2014年6月閣議決定)で掲げた「ロボ
ットによる新たな産業革命」の実現に
向けて、ロボット革命実現会議が昨年
9月に設置されましたが、そこで議論
された結果が、今年の1月に「ロボッ
ト新戦略」としてまとめられました。
「新戦略」では、少子高齢化や老朽イン
フラ等の課題解決に向けてロボット活
躍の可能性が大きいことを指摘し、ロ
ボット革命の実現分野としてものづく
りやサービス、介護・医療、建設や農
林水産業の5分野を挙げています。
では、ロボット革命とは何でしょうか。
これは3つのポイントがあります。
まず?@センサー、AI(人工知能)等の
技術進歩により、従来はロボットと位
置づけられてこなかったモノまでもロ
ボット化することであり(例えば、自
動車、家電、携帯電話や住居等)、
?A製造現場から日常生活の様々な場面
でロボットが活用されることにより、
?B社会課題の解決やものづくり・サー
ビスの国際競争力の強化を通じて、新
たな付加価値を生み出し利便性と富を
もたらす社会を実現することです。
○AI(人工知能)の進化がロボット革
命を後押し
ロボットへの関心度が高まっている背
景の1つには、AIにおける「ディープ
ラーニング(深層学習)」という新技
術の登場・実用化が挙げられます。
従来のAIは、画像・音声認識やエキス
パートシステム(※)等に実用化され
てきましたが、人間がシステムに判断
のルールを教え込まなければならない
という限界がありました。この作業を
データを基に自動的に行うのが、「デ
ィープラーニング」です。
※専門家の知識をコンピューターに
蓄積し、それに基づいたデータ解
析や機器制御を実行するシステム。
「ディープラーニング」によって、ロボ
ットが単なる作業ロボットから自ら学
習し行動するようになると、その活用
分野は劇的に広がります。例えば、従
来は難しかった熟練工の技術・技能を
ロボットが代替したり、生産プロセス
を人間に代わって最適に設計したりす
ることができます。また、画像認識に
とどまらず、動画を高い精度で認識で
きるようになれば、防犯や監視作業に
使うことができます。ロボットが自分
の判断で行動できるようになれば、自
動運転等にも応用できます。
○ロボット活用社会をみすえたルール
見直しを
経済産業省等によると、国内ロボット
市場は2015年の1兆5千億円から35年
には10兆円近くに達する見込みです。
電機各社も実用化を急いでいます。
例えば、日立ハイテクノロジーズは高
圧送電線の検査を自動化するロボット
の販売を開始し、パナソニックはダム
の壁面を点検する水中ロボット、NEC
や富士通はトンネル、橋の点検に使う
ドローンを開発中です。
(日経新聞2015.7.20付)
ただ、ロボット活用を進めていくため
には、今ある規制を見なおし新たなル
ールをつくっていく必要があります。
見直しが必要とされる法律としては、
例えば、電波法や航空法、消費者安全
法等があります。
○電機連合では、インフラ監視・点検に
ついては、機械化を視野に入れた対応
を図るとともに、各種センサーや画像
認識技術等の利用について早急に仕組
みを整備すること、ドローン等無線操
縦ロボットの普及を見すえ、電波の取
り扱い(使用周波数帯出力)や運用ガ
イドラインの整備を進めることを求め
ています。