2015年09月17日
労働者派遣法改正に関する電機連合の見解
労働者派遣法改正に関する電機連合の見解
2015年9月11日、衆議院本会議において、
「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び
派遣労働者の就業条件の整備等に関する
法律等の一部を改正する法律」(改正労働
者派遣法)が与党の賛成多数で可決され成
立した。
これは、2012年に民主党政権により「労働
者の保護」に転換させた同法を、再び「使
用者の利益優先」に転換するものである。
今回の改正では、「専門26業務」(受入期
間制限なし)という区分がなくなり、有期雇
用の一般業務(受入期間3年)においても
過半数組合等への意見聴取さえすれば、人を
変えることで受入期間を制限なく延長するこ
とが可能となった。
これは、雇用が不安定な労働者をさらに増加
させる可能性がある。一方で、民主党と維新
の党により「労働者の職務に応じた待遇の確
保等のための施策の推進に関する法律案」
(同一労働同一賃金推進法案)が提出された
が、与党及び維新の党により修正され実効性
を失い、派遣労働者の待遇は「均衡待遇の推
進」にとどまった。
電機連合は、本改正論議にあたり、専門業務
を軸とした期間制限の維持及び登録型派遣の
縮小、均等待遇の実現等を推進すべきとし、
働きかけてきた。本改正法は、この考え方と
はかけ離れた内容となっており、労働者保護
の観点から不十分である。また、審議の中で、
無期雇用派遣労働者の募集に際して、「正社
員」としていながら、その実は登録型派遣の
ような運用であったり、長期的な雇用を前提
とした処遇体系を持たないなど不適切な事業
運営を行っている派遣会社を規制しようとす
るあまり、実際に労働者を正社員として採用、
処遇して適正な事業運営を行っている企業ま
でも巻き込んで規制の強化が行われる可能性
があることは遺憾である。
電機連合は、これまで派遣労働者を「ともに
働くパートナー」として、2012年「電機産業
における派遣・請負労働者の権利保護ガイド
ライン」に従って、権利保護と処遇改善の取
り組みを行ってきた。
この改正法の施行にあたっても、この基本的
な考え方が変わるものではなく、むしろこれ
まで取り組んできた受入れにあたっての労使
協議等の重要性は増している。
例えば、「常用型雇用へのシフト」の観点か
ら、「過半数組合等への意見聴取」時の対応、
個人単位の同一組織における上限を迎えた時
点での雇用安定措置の実施、有期雇用契約の
無期雇用化等が重要なポイントとなるため、
労働組合としてもこの点に留意して対応する
必要がある。
電機連合は、改正法施行に向けては、先に示
した無期雇用派遣労働者の募集に関する課題
の改善に向けて、連合や省庁などへの働きか
けを継続していくこととする。
また、加盟組合に対し改正内容などの周知を
図るとともに、ガイドラインで示した取り組
みをさらに進めていく。あわせて、本改正法
の運用状況を注視し、課題については連合や
審議会、省庁などとの政策協議等を通じて改
善に向けた意見反映をしていくこととする。
以 上