2015年08月26日
『電機連合@見える化通信』Vol.54「匠の技よ永遠に」
『電機連合@見える化通信』Vol.54
「匠の技よ永遠に」
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の取り組みが
あることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係する課題について政策・提言をまとめ、
政府や省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見えづらい政策
課題について、その中身を少しずつご紹介していきます。
●●電機連合の産業政策●●
※匠の技を自動化できる人材、また、既存の技をブラッシュアップさせ、
さらなる技の付加価値を創造できる人材を育成できる環境を工業高
等学校や工業高等専門学校等に整える。
ICT技術は日々進歩・進化し、我々の生活をより良いものにしてくれてい
ます。近年、そのICT新技術の利活用によって生活だけでなく、我々製造業
のあり方に至るまで革新が起きようとしています。
【IoT(Internet of Things)】
これまでインターネットは、パソコンやサーバー、プリンタなどの情報・通
信機器のみと繋がっていましたがIoTはその他の様々な「モノ」とインターネ
ットが繋がる技術をいいます。
IoTの活用は、センサーの小型化・高性能化が進んだことや、クラウドコンピュ
ーティングが登場したことで、近年、一気に広がりを見せ始めました。
「モノのインターネット化」とも呼ばれるこの技術によって、既存の製品や
サービスに新たな価値をふき込み、これまでにない発想に基づく製品やサー
ビスを生み出すことで、市場拡大が期待されています。
具体的には、IoTで「モノ」の自動制御や遠隔計測・操作を行うことで生産の
効率化を進めたり、さらにそこからマーケティングを行うことで、新たな事
業やサービスに繋げます。
これらの技術は日本の電機産業が得意とする分野であるため、今後の動きに
注目できます。
IoTの広がりは電子部品・半導体業界にも追い風となるでしょう。
IoTを「家」に応用すれば、家の中にある家電や情報機器などの設備を自動制御、
遠隔測量し、そのデータを活用して様々なサービスを提供する「スマートハウス」
となります。
また「車」に応用すれば、遠隔操作を行う「自動運転」となり、走行データを
活用することで新たなサービスも生まれます。
【製造現場におけるIoTの利活用】
さらにはIoTの技術を「工場」における生産・製造プロセスに応用すれば生産
バリューチェーンのネットワーク化が実現し、製造コストは削減されます。
これは、我々製造業にとっては最も注目される技術革新です。
こうした仕組みをドイツでは「Industrie4.0(インダストリー4.0)」
と呼び、国を挙げて取り組みを進めています。
また、米国では米ゼネラル・エレクトリック(GE)が「インダストリアル・
インターネット」として、同様の取り組みを進めています。
経済産業省では、ICTを利活用する様々な仕組みをいわば包含する形で実世界
から得られたデータを分析・解析し、その結果を再び実世界にフィードバック
する「サイバーフィジカルシステム(CPS)」の取り組みを進めており、
動向が注目されます。
【生産工程の自動化と技能・技術職人材】
生産年齢人口の減少が進むにつれて、生産現場ではロボットの導入による作業
の自動化が進んでいくことが考えられます。
しかし、単に人の作業を機械に代替すれば良いというものではなく、生産現場で働く
人の経験・技術が必要になってきます。
そのため、時代に合わせた技能・技術職人材の高度化は必要です。
電機連合では、匠の技を自動化できる人材や既存の業をブラッシュアップさせる人材
の育成が必要だと考えます。
こうしたさらなる技の付加価値を創出できる人材を育成できる環境を工業高等学校や
工業高等専門学校等に整えることを求めています。