2015年06月08日
『電機連合@見える化通信』Vol.52「〜 仕事と介護 〜 両立の視点から地域包括ケアシステムをつくろう」
『電機連合@見える化通信』Vol.52
「〜 仕事と介護 〜 両立の視点から地域包括ケアシステムをつくろう」
電機連合の活動の中に「産業政策・社会政策」の取り組みが
あることを知っていますか?
産業政策は電機産業や日本をより豊かに発展させるため、社会政策は暮らしや生
活をより良くするための取り組みです。
私たちの周りには様々な問題があり、その中には、個別企業労使の話し合い
だけでは対応しきれないものも多数存在します。
電機連合は働く者の立場から、自らに関係する課題について政策・提言をま
とめ、政府や省庁などと意見交換を行い、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見えづらい政策
課題について、その中身を少しずつご紹介していきます。
●●電機連合の社会政策●●
就労継続の観点から、地域包括ケアシステムの構築・整備を図る。
高齢化の進行などにより、介護を必要とする人は増え続けています。
働きながら介護をしている人は約290万人、また介護を理由に離転職する人
は年間10万人に上ります。
他方、特別養護老人ホームの入所待機者は52万人。国は在宅介護を中心と
する「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。介護に直面しても
安心して働き続けるための環境整備は喫緊の課題です。
【施設から在宅へ】
介護は、単身者の増加、核家族化、兄弟姉妹の減少等により、誰もが担う
ことが当たり前の社会になりつつあります。
しかも、育児と違って、介護は前触れもなく突然直面することも多く、
またいつまで続くのか先の見通しも立ちません。
生命保険文化センターの調査によると10年以上に及ぶ長期の介護も12%強と
少なくなく、一人で抱え込んでしまった挙句に離職や介護うつに陥ってしまう
人も増えています。
介護を家族だけに頼らず、社会全体で支え合い、介護に直面しても働き続ける
ための環境を整えていくことは、介護者本人はもちろんのこと、企業、また国
にとっても極めて重要です。
翻って国の介護保険制度はどうなっているのでしょうか。介護保険制度がスタ
ートしたのは2000年度。介護費用は当初の3.6兆円から2013年度には9.4兆円と
3倍近くに急増しており、今後団塊の世代が75歳になる2025年には20兆円に膨
らむと推計されています。
そのため、国は制度の持続可能性を維持すべく2014年6月に介護保険法の改正
を行いました。
改正により、特別養護老人ホームの新規入居者は原則要介護3以上にする、一
定以上所得のある利用者の自己負担を1割から2割に引上げる、要支援者の予
防給付(通所介護・訪問介護)を全国一律から市町村事業へ移行する、などが
順次施行されます。
またサービス提供の面からは、中学校区(30分以内に駆けつけられる圏域)ご
とに「地域包括ケアシステム」を構築し、在宅・居宅での医療や介護、福祉サ
ービス等を適切に提供できる地域づくりをめざしています。
医療や介護が必要になっても住み慣れた場所で生活できることは要介護者の生
活の質(QOL)の観点からも推進すべきと考えます。
ただ在宅・居宅を中心とするならば、介護者を支援する施策の充実・強化が不
可欠です。
【政策の実現】〜 さらに組合員の声を政策に反映 〜
電機連合では、政党・省庁との政策協議を通じて、就労継続の観点から、地域
包括ケアシステムの構築・整備を図ることを求めています。
昨年、所管する厚生労働省と協議を行った結果、本年4月に行われた介護報酬改
定では「介護者の更なる負担軽減や、仕事と介護の両立の観点から」、通所系
サービス(いわゆるデイサービス等)の延長加算が今までの上限10時間から14
時間未満までに拡大されるなど、一部前進が図られました。
今年の政策協議では上記のさらなる改善を求めていくとともに、両立を行って
いる組合員のヒアリングを通してみえてきた政策課題についても協議する予定です。
例えば、現在は見守りサービスなど独居世帯を中心としたサービスが主流ですが、
介護者が働いている間の日中独居への対応の強化、両立を支援するケアマネジャー
の育成、小規模多機能型居宅介護施設の充実などです。
組合員の声を政策に反映し、その課題解決に向けた政策・制度の取り組みを引き
続き行っていきます。
また職場や個人にとっては、両立実現に向けた支援制度の周知や事前の心構えが
重要です。
電機連合は「介護支援ガイドライン:〜 仕事と介護 〜 両立に向けた手引き」
を策定し、7月の定期大会で報告する予定です。
各種両立支援の法律や制度の紹介、両立実現のポイント、組合員の両立事例なども
掲載しています。ぜひご活用下さい。