2015年04月23日
『電機連合@見える化通信』Vol.50『水循環』の最適解に貢献する 電機産業の技術
『電機連合@見える化通信』Vol.50
『水循環』の最適解に貢献する
電機産業の技術
電機連合の活動の中に「産業政策」の
取り組みがあることを知っていますか?
産業政策とは、電機産業や日本をより
豊かに発展させるための取り組みです。
私たちが働く電機産業に活気があり、
企業の業績がよくなければ、雇用の維
持・拡大や賃金などの労働条件の改善
は厳しくなります。
そこで、働く者の立場から電機産業が
直面しているさまざまな課題を見つけ
出し、その解決方法(法改正や制度策
定など)を考えて「産業政策(政策制
度課題と私たちの見解)」として取り
まとめ、毎年、政党や省庁などと意見
交換を行って、政策実現を目指してい
ます。
『電機連合@見える化通信』では、何
となく小難しくて見えづらい、でも私
たちの暮らしをより良くするために大
切な産業政策の見える化に向けて、そ
の中身を少しずつご紹介していきます。
●● 電機連合の産業政策 ●●
*電機産業の技術を生かした
国内産業の活性化*
・自治体のインフラ対策人材の不足に
ついては、監視・点検の機械化の促
進を視野に入れた対応を進める。
・そのためにも、各種センサーや画像
認識技術を利用することによる、効
率的な監視・管理の仕組みを確立する。
【「水循環基本法」の成立】
昨年の3月27日に成立した「水循環基
本法」は、水循環の維持・回復のため
の政策を包括的に推進するために制定
された法律です。
この法律のなかで「水循環」とは、
「水が、蒸発、降下、流下又は浸透に
より、海域等に至る過程で、地表水、
地下水として河川の流域を中心に循環
すること」と定義されています。
水は一カ所に止まってはいません。
雨は河川に流れ込み、あるいは地下に
浸透します。河口まで辿り着いた水は
海に注ぎ込み、一部は蒸発して雲にな
ります。
この間には、森や川、田畑や工場、そ
して住宅があります。森は水を蓄え、
河川は水を流し、田畑は作物を育てる
ために水を使い、工場は水を消費し、
住宅では人間が水を飲んで暮らしてい
ます。
水は循環しながら自然と人間に様々な
形で関わり合い、そこに、森林法、河
川法、水質汚濁防止法、水道法、工業
用水道事業法などの法律と、様々なし
くみが設けられています。
そして、この水循環の最適解を求める
ための事業にも、電機産業の最先端技
術が貢献しています。
【AR技術の活用で熟練者の技術を伝承】
〜水道インフラ現場の作業品質の向上と
スキルの平準化〜
暮らしの中になくてはならないライフ
ラインである上下水道等は、各自治体
が、その計画・運営を担っています。
日本の水道、下水道は、世界トップク
ラスの普及率を誇りますが、今後はイ
ンフラ老朽化による設備の大更新時代
を迎えます。
大きな変化への対策が急務となるなか、
様々な官民連携や事業運営の効率化が
進められています。
水道インフラの維持管理には高度な技
術者が欠かせませんが、現場は高齢化
に伴う人材不足という課題を抱えてい
ます。
熟練技術者の経験やノウハウといった
技術の伝承は、これまで、職場内教育
(OJT)と、現場の技術者が実務の中で
作成した文字や写真による紙のマニュ
アルが軸となっていました。
しかし、この方法では「文字だけでは
伝えきれないことがあるため説明不足
になりがち」「作業品質や安全性を維
持するためには、現場の作業負荷を極
力軽減する必要がある」といった課題
がありました。
この課題を解決したのがスマートデバ
イスとAR(拡張現実)技術の活用です。
水道インフラの現場作業者が作業箇所
に貼り付けたARマーカーにタブレッ
トのカメラを向けると、画面に映った
実際の風景に、作業方法や手順、注意
点などのコンテンツが重なって表示さ
れます。
実際の作業手順が画像で示され、異常
音等についても、実際の音で伝えあう
ことができます。画像や音声を駆使し
た現場の具体的なノウハウが、視覚的
に閲覧・記録・共有されていきます。
こうして、作業箇所・手順・内容が大
幅に具体化されていくことで、水道イ
ンフラの維持管理という高度技術の確
実な伝承と、教育に要する時間短縮、
スキルの平準化を同時に実現しています。