2015年01月07日
電機連合@見える化通信Vol.46【切れ目のない特例退職被保険者制度を!】
電機連合@見える化通信Vol.46
【切れ目のない特例退職被保険者制度を!】
電機連合の活動の中に「産業政策」の取り組み
があることを知っていますか?
産業政策とは、電機産業や日本をより豊かに発
展させるための取り組みです。
私たちが働く電機産業に活気があり、企業の業
績がよくなければ、雇用の維持・拡大や賃金な
どの労働条件の改善は厳しくなります。
そこで、働く者の立場から電機産業が直面して
いるさまざまな課題を見つけ出し、その解決方
法(法改正や制度策定など)を考えて「産業政
策(政策制度課題と私たちの見解)」として取
りまとめ、毎年、政党や省庁などと意見交換を
行って、政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小
難しくて見えづらい、でも私たちの暮らしをよ
り良くするために大切な産業政策の見える化に
向けて、その中身を少しずつご紹介していきます。
【電機連合の考え方】
電機連合は制度のすき間による弊害を解消する
ため、「特例退職被保険者制度の加入資格を見
直し、切れ目のない制度へ改善する」ことを求
めています。
【特例退職被保険者制度とは】
特例退職被保険者制度(以下、特退)とは組合
管掌健康保険(組合健保)における制度の一つ
で、定年などの退職後も一定の加入要件を満た
せば75歳になるまで引き続き、いままでの健康
保険組合に加入できる制度です。健康保険組合
の設立目的の一つである自主運営の道を、退職
者に対しても開くために打ち出された制度であ
り、厚生労働省から認可を受けた特定の健康保
険組合(特定健康保険組合、以下、特定健保)
にこの制度があります。
特退の加入者(特例退職被保険者)にとっては、
退職後も在職中とほぼ同様の、付加給付部分も
含めた手厚い給付(傷病手当金を除く)や健康
診断・保養所等の保健事業を受けることができ、
また保険料も比較的安く抑えられているという
メリットなどにより、退職後の生活の安心にも
つながっています。また現役時代から退職後に
かけて一貫した保健事業を行える為、効果的な
医療費適正化に寄与しているといえます。
【年金支給開始年齢引上げに伴い生じた制度のすき間】
特退の加入者となるには、前述の通り、一定の
加入要件を満たすことが必要です。具体的には、
当該健保組合の加入期間(退職日まで20年以上、
または40歳以降10年以上)に加えて、「老齢厚
生年金の受給資格者であること」が必須要件と
なります。
ご存じの通り、老齢厚生年金は2013年4月より
受給開始年齢が段階的に65歳まで引き上げられ
ることになっており、現在、男性については61
歳となっています(女性は2018年4月~)。
これに伴い、高年齢者雇用安定法の改正が行わ
れ、法律上は65歳までの雇用確保が整備されて
きましたが、多くの企業が定年としている60歳
で退職することを選択する方も数多くいます。
60歳で定年退職した場合、繰上げて老齢厚生年
金を受給する場合を除き、年金の受給資格はあ
りません。年金受給資格が得られる61歳までの
1年間、特退に加入できないという「制度のす
き間」が生じてしまい、対象者は当該健保組合
の任意継続被保険制度(以下、任継)、または
市町村が運営する国民健康保険(以下、国保)
へ異動せざるを得ません。
任継の加入期間は最大で2年ですので、年金受
給開始が63歳となる2019年4月以降は任継からさ
らに国保への異動手続きが必要となってしまいます。
これらの異動に伴う手続きの煩雑さに加え、任
継では引き続き今までの健保に加入できるもの
の保険料は特退と比べて高くなる、一方国保で
は健保独自の付加給付や健康診断などが受けら
れなくなる、被扶養者の保険料も支払う必要が
あるなどの不利益が生じます。
また年金受給資格が得られたら特定健保に加入
できますが、国保からの異動の場合は3ヵ月以
内に本人の申出による届出が必要となっており、
期限を過ぎると加入できないという事態も発生
してしまいます。
このように制度のすき間で対象者が振り回され
てしまうという現実に直面しているのです。