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活動紹介

2014年11月19日

電機連合@見える化通信Vol.44【強制適用?任意適用?揺れるIFRS】

電機連合@見える化通信Vol.44
【強制適用?任意適用?揺れるIFRS】

電機連合の活動の中に「産業政策」の取り組みがある
ことを知っていますか?

産業政策とは、電機産業や日本をより豊かに発展させる
ための取り組みです。

私たちが働く電機産業に活気があり、企業の業績がよく
なければ、雇用の維持・拡大や賃金などの労働条件の改
善は厳しくなります。

そこで、働く者の立場から電機産業が直面しているさま
ざまな課題を見つけ出し、その解決方法(法改正や制度
策定など)を考えて「産業政策(政策制度課題と私たち
の見解)」として取りまとめ、毎年、政党や省庁などと
意見交換を行って、政策実現を目指しています。

『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて
見えづらい、でも私たちの暮らしをより良くするために
大切な産業政策の見える化に向けて、その中身を少し
ずつご紹介していきます。

【強制適用?任意適用?揺れるIFRS】
「国際会計基準(IFRS)」を世界の統一基準にしようと
する動きが加速しています。欧州をはじめとした世界に
広がりつつある「国際会計基準(IFRS)」を日本の企業
にも適用するべきかどうかの議論が続いています。

●●電機連合の産業政策の取り組み●●
*幅色い議論・検討の場をつくり、日本の国益を確保する。
*世界で行われる議論経過を節目ごとに公表し、十分な
 アナウンスに努める。
*企業の長期的な成長をめざす視点に立った内容とする。
*IFRSの適用については、引き続き任意適用とする。

【国際会計基準(IFRS)とは】
国際会計基準(IFRS)とは、国際会計基準審議会(IASB)
が設定した会計基準のことで、「アイファース」「イフ
ァース」などと読まれています。日本企業の多くは会計
基準に「日本基準」か「米国基準」を採っていました。
IFRSはそこに三つ目の会計基準として加わったもので、
日本では2010年3月期から任意適用が始まりました。
これまでにIFRSを適用もしくは、適用を正式に表明して
いる企業は49社(2014年11月現在)あります。その内、
電機連合加盟組合企業では、上場企業118社中3社がIFRS
を適用しています(2014年3月期決算時点)。ちなみに、
日本基準を適用している企業は118社中106社で、米国基
準を適用している企業は9社です。
IFRSの適用に関して日本では、2007年に「IFRSを上場企
業へ強制適用させる」ことが決まり、2015年からの実施
が予定されていました。しかし、アメリカが適用を見送
ったことなどから、時期尚早として適用は先送りとなり、
今日に至ります。なお、任意適用は認められているため、
主にグローバルに展開している企業においては、海外拠
点を含むグループ内での統一の基準による経営管理を目
的として、適用を予定している企業や準備に入っている
企業が近年は増えており、電機連合加盟組合企業にもそ
の動きは見られます。

【IFRSの特徴】
IFRSには大きく二つの特徴があります。一つ目は、「貸
借対照表(B/S)を中心とした考え方」です。製造業は損
益計算書(P/L)を重視する傾向があり、日本基準、米国
基準では収益から費用を差し引いた利益で業績を判断す
ることがよくあります。しかしIFRSでは、期首・期末の
資産と負債の差によって利益(包括利益)を算出します。
そのため、厳密にいえば我々が指標として注目をしてい
る「営業利益」「経常利益」「純利益」は従属的なもの
として扱われます。
二つ目は、「原則主義」です。日本基準と米国基準は会
計処理にあたり、詳細で具体的な規定や数値基準を設け
る「細則主義」を採っています。IFRSでは、会計処理に
関する原則を示すとともに、会計処理に関する解釈や運
用は企業の判断に任せる考え方(原則主義)を採ってい
ます。そのため、決算発表や業績内容を理解するにはこ
れまで以上に会計報告書に書かれている内容を熟読する
ことが必要です。

【電機連合のIFRS対応への考え方】
現在、IFRSを適用すべきか否かの議論は金融庁の企業会
計審議会で行われていますが、金融庁や専門家による狭
い議論の場ではなく、労組や他省庁等の参加のもと、幅
広い議論・検討の場をつくり、国益を確保することが必
要です。また、企業会計基準委員会(ASBJ)やIFRS財団
会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)における
議論経過を節目ごとに公表し、十分なアナウンスに努め
ることも必要です。
日本は現在、IFRSを設定する国際会計基準審議会(IASB)
に対して影響力を持つ立場にあります。IFRSに関しては、
短期的業績志向ではなく、実体経済重視の観点を重視し、
企業の長期的な成長をめざす視点に立つ内容とすること
が求められます。さらに、基準の適用については、強制
適用とせず、引き続きIFRSの採用が有意である企業の任
意適用とすることを求めます。

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