2013年11月28日
電機連合@見える化通信Vol.33【ビッグデータが日本を元気にする】
電機連合の活動の中に「産業政策」の取り組みがあることを
知っていますか?
産業政策とは、電機産業や日本をより豊かに発展させるため
の取り組みです。私たちが働く電機産業に活気があり、企業
の業績がよくなければ、雇用の維持・拡大や賃金などの労働
条件の改善は厳しくなります。
そこで、働く者の立場から電機産業が直面しているさまざま
な課題を見つけ出し、その解決方法(法改正や制度策定など)
を考えて「産業政策(政策制度課題と私たちの見解)」とし
て取りまとめ、毎年、政党や省庁などと意見交換を行って、
政策実現を目指しています。
『電機連合@見える化通信』では、何となく小難しくて見え
づらい、でも私たちの暮らしをより良くするために大切な産
業政策の見える化に向けて、その中身を少しずつご紹介して
いきます。
【ビッグデータが日本を元気にする】
世界中のあらゆる場所における人の移動・行為、モノの動き
がデジタルデータ化されるビッグデータ時代が到来しています。
ビッグデータとは、インターネットでの購買・検索履歴、S
NS(交流サイト)、センサー、GPS(位置情報)などを
通じて収集した多種多様な大容量のデジタルデータを指します。
ICTを活用して収集したビッグデータを分析することで、
見えなかった社会の動きを可視化したり、未来を先読みする
ことが可能となります。日本において2012年はビッグデータ
元年と呼ばれ、例えば、ツイッターでのつぶやきや検索サイ
トで使われた単語を分析することで選挙の当落を的中させる
ことが可能となったり、あるいは、センサーデータから産業
機器の故障を先読みする新ビジネスの創出が始まっています。
総務省は、ビッグデータをフル活用した場合、現状でも年間
7兆700億円の経済効果が見込めると試算しています。
電機産業が持つICT技術をビッグデータに活かして新産業
や新製品などを創出し、日本を元気にします。
【公共データの民間活用促進で新産業を創出】
政府は2013年6月に「世界最先端IT国家創造宣言」を閣議
決定しました。ビッグデータやオープンデータ(公共データ
の民間開放)の活用を推進し、革新的な新産業・新サービス
の創出と全産業の成長を推進する社会を実現するとしています。
特に政府や自治体が保有する地理的空間情報、防災や気象情
報等の公共データは、信頼性の高い基礎データとして民間利
用のニーズは高いものの、二次利用への制約や未公開データ
が多くあります。オープンデータ先進国である米国では、犯
罪統計、地質・地形、教育など幅広い公共データをインター
ネットで民間に開放しています。これを活用した不動産価値
を算定する有料不動産検索サービスでは年間50億円を売り上
げるといった新ビジネスが生まれています。日本でも現在試
行的にオープンデータの公開が進んでおり、来年に本格運用
へ移行し、2015年度末には他の先進国と同水準の公開内容を
実現するとしていますが、それでも米国や欧州と比べてかな
りの遅れをとっています。スマートシティへの活用も都市の
付加価値を高めるものとして期待されており、早急に公共デ
ータの整備と公開を進めて、民間活用を促進します。また、
データ提供窓口は、なるべくまとめることで目的の情報にア
クセスしやすいようにして利用の活性化を図ります。一方、
個人が推定できる可能性のあるデータ活用は、例えば、独居
の高齢者が特定されると振り込め詐欺に使われるといった犯
罪利用の懸念もあります。履歴情報は特定の個人を識別する
ものでなければ、個人情報に該当しないものの、長期収集し
た各種データを連携させることで特定の個人が推定できる可
能性もあるため、プライバシー保護を徹底します。
【高度ICT技術者(データサイエンティスト)育成システム確立】
ビッグデータを利活用するには、「データサイエンティスト」
と呼ばれる高度ICT技術者が不可欠となります。データサ
イエンティストには、ICT技術だけではなく、統計学、数
理学等の知識を総合的に駆使して、組織や社会の課題解決策
を提案できる高度な能力が必要となります。しかし、データ
サイエンティストは世界的に人材不足で、日本には千人程度
しかいないと言われ、人材育成が急務です。総務省で育成カ
リキュラムの実証実験が行われていますが、日本でのデータ
サイエンティストの存在は認識され始めたばかりで、民間企
業や海外の事例を取集・分析してキャリアパスを構築するこ
とが重要です。例えば、米国においてデータ分析に注力して
いる企業では、スカウトしたデータサイエンティストを研究
所に集めて、独自の教育プログラムを作り人材育成を図って
います。こうした企業の事例を活用して、高度ICT技術者
の育成システムを確立していきます。
●● 電機連合の産業政策 ●●
*公共データ(オープンデータ)の民間活用を推進し新産業創出。
*個人が特定可能となりえるデータはプライバシー保護を徹底。
*高度ICT技術者(データサイエンティスト)育成システム確立。