2013年10月14日
電機連合は、9/11(水)に総務省との「政策協議」を実施しました。
電機連合は、9/11(水)に総務省との「政策協議」を実施しました。
{日時}9月11日(水)8:00〜9:30
{場所}東海大学校友会館
{省庁}総務省
{内容}
(1)成長戦略の実現について
(2)日本の技術力評価について
(3)人への投資について
「電機連合 計10名」
・有野 正治 中央執行委員長
・野中 孝泰 副中央執行委員長
・浅沼 弘一 書記長
・矢木 孝幸 書記次長
・住川 健 産業政策部長
・冨高 裕子 社会政策部長
・井村 和夫 政治センター事務局長
他3名
「経済産業省 計10名」
・桜井 俊 総務審議官
・吉良 裕臣 総合通信基盤局長
・阪本 泰男 情報通信国際戦略局長
・福岡 徹 情報流通行政局長
・吉田 靖 政策統括官
他5名
○有野委員長あいさつ
参議院議員選挙も終わり、安定政権ができ、いよいよ
第3 の矢、成長戦略の実現が期待されている。
2020 年のオリンピックが日本で開催されることも決
まり、これもまた日本経済に良いインパクトになればと
思う。電機産業はずっと厳しい環境が続いており、事態
打開の方向性の一つとして、電機連合はデフレ脱却を主
張してきた。政府の成長戦略には、私たちも期待の大き
いICT 技術を駆使した項目が多数盛り込まれている。
総務省の皆さんも、成長戦略の実現に向け、さまざま
な思いで取り組まれていることと思う。われわれの産業
にとっても、この部分をいかに取り込んでいくかが、今
後の成長につながると考えている。
本日は、いろいろと意見交換させていただきたい。
○桜井審議官あいさつ
聞くところによると、電機連合との意見交換会は今回
で30 回目になる。安倍政権の成長戦略は1丁目1番地の
政策として推進している。その中でICT は重要なファク
ターであり、総務省としてもICT 成長戦略会議を設け、
いろいろな分野においてICTを徹底的に利活用しようと
いうことで取り組んでいる。
マクロで見ると日本の経済状況は良くなってきている
が、ミクロではたいへん厳しい分野がある。
ICT成長戦略では、コンシューマについては4K・8K、
ビジネスでは社会インフラやICT で異業種を組み合わせ
ていくことなどにスポットを当てている。
いろいろな面でご教授いただき、適切に政策を進めて
いきたいと思う。
◆◆◆ 主な意見交換内容 ◆◆◆
▲▲▲ 成長戦略の実現について ▲▲▲
【電機連合】
成長戦略は、非常に膨大な内容だ。
それぞれの項目に対し計画を立てて実行し、成果につ
なげるには、省庁間、民間との協力を含め、相当なエネル
ギーと時間、労力が必要だ。それぞれの項目を具体的な
内容に落とし込んで、実のあるものにしていく過程はど
のようになっているか。
【総務省】
それぞれのプロジェクトでロードマップを作成している。
ただ、今までのわれわれの施策の最大の反省は、いい
プロジェクトはあるものの、継続的なPDCAがなかなか実
行できていない。甘利大臣からは、フォローアップもし
っかりせよと言われている。
また、成長戦略ではそれぞれのプロジェクトにICTが
横串を刺す形になっているものがあるが、この部分につ
いても、総務省だけではできない。各省と連携しなけれ
ばならないということで、各プロジェクトに関連する会
議には各省からオブザーバー参加してもらい、各省連携
をちゃんと進めるようにしている。
【電機連合】
電機産業には収益性と成長性に大きな課題がある。
成長性において再興戦略を見ると、電機産業が持つ技
術で貢献できる部分がたくさんある。
電機産業は成長に向けた構造転換を進めていかなけれ
ばならない。その中で目をつけているのが、スマートグ
リッド、スマートシティの関連産業の位置付けだ。
ただ、絵の段階まではどこのメーカーでも描いている
が、その先の段階がなかなか進まない。理想とするイメ
ージはあるが、実行段階になるとなかなか進まない。
【総務省】
日本の産業には、部品や個々の技術で見るとすごく質
が高いのに、トータルシステムやサービスとして組み上
げるという部分では必ずしも強くない面がある。政府の
取り組みにしても、実証実験のための実証実験になって
いたものが今までの取り組みにあったことは、反省しな
ければならない。
霞ヶ関はこれまでプランニング中心で、その後は自治
体、あるいは民間企業で取り組んでくださいという流れ
だった。実証実験を具体的なシステムやサービスに仕上
げていくために、霞ヶ関自身も現場に行って、自治体、
あるいは民間企業と同じ目線で何が問題になっているか
チェックするようにし始めている。
もう一つは、今までは国内だけでモデルを作り、その
モデル持って海外に出ていこうとしていたが、それを、
国内・海外同時に取り組むようにして、国内外同時にサ
ービスを立ち上げていくことが必要なのだと思う。
▲▲▲ 日本の技術力評価について ▲▲▲
【電機連合】
過日、IT 競争力ランキングが発表された。全体として
日本の民間企業の技術レベルは、他国に比べて劣ってい
るとは思えないが、何が悪くて日本はここまで低いのか、
という思いがある。
(21位:Global InformationTechnology Report、2013 年)
このことについて、総務省はどのように考えているか。
【総務省】
結果にはいろいろな見方がある。例えば、各国比較なの
で、どういうメルクマールで評価しているのか、というこ
とだ。民間企業の技術レベルだけ見れば、高い評価になっ
ている。ただ、この競争力ランキングの中で一番効いてい
るのは、政府自らのICT、電子政府だとか電子自治体への
取り組みが弱いという点だ。そこが大きく効いているとい
う感じがする。総務省としては、こういう評価が世界に向
けて発表されていることは謙虚に受け止めないといけない
と考えているし、どのようにマイナス評価が行われたのか
を分析した上で次の手を打っていくことは、すごく重要だ
と思っている。
▲▲▲ 人への投資について ▲▲▲
【電機連合】
昨今、情報家電業界の落ち込みが激しい。
その中で、4K・8K といった高画質技術への関心が高まっ
ている。少し前に3Dテレビがあったが、こちらは不発に終
わっている。われわれの関心事は、こうした技術が日本国
の雇用にどうつながるのかということだ。ハードの話にし
ても、国内で作った受像機が売れないとか、画像処理回路
も半導体業界に開発する余力がなく、海外から買わないと
いけないとなると日本の雇用につながらない。
【総務省】
今の成長戦略においても、雇用を確保し、経済成長を賃
金にどう反映させるかということは、大きな課題だ。国内
雇用をきちんと確保し、産業の高度化の源泉を国内にきち
んと持った上で、世界に出ていく状態をキープしないと、
持続的な成長には結びついていかない。短期のことだけ考
えれば、とりあえず利益を出すために海外に出ることもよ
いのだろうが、長期的に考えるとそれはおそらくいいサイ
クルにはならないだろう。
【電機連合】
国を成長させるのも利益を生むのも、人が介在して初め
て成り立つことだ。雇用に対する不安を抱えていては、い
い仕事ができない。産業競争力を高め、国際競争力を持っ
た技術や製品を作り、国際競争を戦い抜いていくためには、
一つは長期安定雇用はもとより、年齢や性別にかかわらず
生き生きと働ける環境を整え、人が持つ力を最大限引き出
せるよう労使で知恵を絞るべきだと思う。
その上で将来の日本の産業のあり方をはっきりさせ、重
点分野にはしっかり投資を行う。そして、企業の投資の方
向を定めつつ、国の論理と企業の論理を合わせていく取り
組みが必要だ。